包む文化

日本語の「つつみ」は、古代では「隠す」「遮る」という意味に使われていたそうです。包んで外界の汚れから内界を守るということだそうです。包まれることで中身は「清く」保たれ、「聖なる」ものであり続けると考えられていたそうです。「包む」ということが、保護するとか貯蔵するとか、運搬するという機能面だけではなくて、精神面や文化的な面でも深く私たちの生活に根ざしていることがわかるかと思います。注連縄というのも藁で結界を造るということから「包む」のカテゴリーに入るそうです。奈良時代では「包む」というのは天変地異を鎮めると考えられていたということのようです。注連縄は信仰としての包と呼べるそうです。また奈良平城京は、年貢というのを集めていましたが、それらの輸送用として保護・貯蔵・運搬用に包むものが必要でした。箱やビン、籠、袋というものが、かなりの完成度で利用されていたそうです。博物館などで何の気なしに見ていましたが、そもそも物を入れる道具を芸術品として高めようという気持ちは凄いことのような気がしてきました。本能なのでしょうか。平安時代では公家や武家が茶道、華道などをしていますが、茶菓子というものが盛んに作られるようになったそうです。その茶菓子を包む、包みの美というものが、日本独特の文化として造られたそうです。箱ものには、皮張り、竹編み皮籠、葛籠、櫃、笈が用いられたそうです。袋ものとして、上刺袋(うわざしふくろ)、頭に載せて歩く戴袋が庶民のあいだで使われたそうです。稲籾を運ぶためのものとして、俵がすでに完成していたそうです。液体の貯蔵と運搬には木片と竹の箍で作った桶、木皮で縫ったまげものが用いられるようになったそうです。